海のクマムシは、人類がヴァケーションしている素敵なビーチの砂の隙間から、何にもいないように見える真っ暗な深海の泥まで、海の幅広い環境に生息しています。砂浜でも、波打ち際、もう少し陸寄りの砂浜の表面、ちょっと掘ったところ、全力で掘ったところの砂で、見つかるクマムシの種や見つかる個体数が違います。一握りの砂に百匹以上のクマムシがいることもあれば、全くいないこともあります。クマムシの採れなかった場所の一メートル隣では、クマムシがうじゃうじゃいるということもあります。その日、その時間にクマムシはいなくても別の日に同じ場所で採れることもあります。我々には感じ取れない微妙な環境の違いや変化を感じ取りながら、クマムシは砂の隙間で生活しているのでしょう。それでも、辛うじて我々にもわかる基準があります。それは、多くのクマムシが、ナメクジウオが住んでいるような砂や、貝殻や珊瑚が砕けたものでできた砂を、好んでいるらしいということです。好んでいるようなのですが、確実にいるというわけではなく、いないことも多々あります。それに、このような環境に住んでいるクマムシと泥に住んでいるクマムシでは、姿かたちが異なります。そのため、全てのクマムシを同時に論じることは難しいです。結局クマムシがいるかいないかは、クマムシを見つけるまでわかりません。
今のところ、酸素のない環境でクマムシは見つかっていません。
海のクマムシは砂や泥の他にも、磯のフジツボや海藻から見つかります。フジツボにくっついているクマムシの中には、イソトゲクマムシ属という乾燥耐性を持つものがいます。世界中のフジツボから、それなりの個体数が見つかるため、見つけてもあまり嬉しくなりません。海藻にくっついている別の科のクマムシでも乾燥耐性のあるものが最近報告されています。案外、海のクマムシもいろいろな劣悪環境に対する耐性を持っているのかもしれません。
ヨーロッパでは、ナマコの仲間からもクマムシが採れます。