磯に行って、へらでフジツボ(おすすめはイワフジツボ)を削り取ってきましょう。同じ場所でも、高い位置のフジツボと低い位置のものを採っておくと、クマムシ・ボウズ・リスクを低く抑えることができます。それを海水のはったシャーレに入れて、ちょっと時間をおいてから、実態顕微鏡(30倍くらい)を覗いてみましょう(欲張ってシャーレにいっぱいフジツボを入れると、クマムシを探しにくくなるので、フジツボ5個体も入れれば十分です)。クマムシが歩いているはずです。歩いていなかったら、まだクマムシがどこかの隙間から這い出て来ていないか、クマムシが小さいことを忘れて、見つけられていないだけか、本当にクマムシがいないかです。
砂泥こそ海のクマムシ採集の主戦場。砂選びは海のどこにいるの?を参考にしてください。クマムシ採集では、浸透圧ショック法を用いるのが定跡。現実的な抽出方法の中で最も多くのクマムシが採れる方法です。これをやらずに、直接顕微鏡で探すと、人生を棒に振ることになりかねません。
泥の細かい粒子は、浸透圧ショック法でかき混ぜると、全く沈まず、クマムシとともブラに引っかかってしまい、浸透圧ショック法の意味がなくなってしまいます。これを解決するのが、ガラスのコロイド溶液(Colloidal Silica HS-40(R))を用いた方法です。この薬品を薄めてクマムシ(や小さい生き物)と同じくらいの比重に調整し、これをクマムシの入っているだろう泥と一緒にかき混ぜると*、この溶液より重い泥粒子は沈み、クマムシ(や小さい生き物)は沈まずに上澄みに残る。この上澄みをブラで濾すと生き物だけが残るという具合です。沈むのを速めたい場合、遠心分離機を使いましょう。クマムシが重い粒子にしがみついている場合や体に大量のごみを付けている場合、この方法では捕まえられません。ちなみにこの方法では生きたクマムシを見つけることはできません。
(*) 泥は混ぜる前に塩抜きしておかないと、試薬がゼリーになってしまい、うまく抽出ができなくなってしまいます。このゼリーは、ブラに入れて水で洗うと溶けます。